幼児英語教育のデメリット(セミリンガル)を心配するあなたへ
早すぎる英語教育は、日本語も英語も中途半端になるんじゃないかと心配される方がとても多いです。
でも両親が日本人で日本に暮らし、1日数時間英語教材や英会話に取り組んでるくらいなら大丈夫。
普段の日本語での日常会話と、英語学習の時間をしっかり区切ってあげれば問題ありません。
目次
セミリンガルになりやすい環境
セミリンガルはダブルリミテッドとも言われ、英語も日本語も中途半端になってしまっている状態を言います。
日本語を覚え始めた頃に海外暮らしになるなど、母国語が確立していない時から外国語に囲まれてしまう状況でなってしまいます。
日本語が自由に使えない状況や日本語が周りに無い状況で起こりますので、日本での英語学習くらいでは、あまり心配しなくて大丈夫です。
セミリンガルにならないために
ご両親が日常会話で日本語を使っていれば、英語教材のDVDを流しっぱなしにしてお子様に見せておく程度では心配いりません。
でも、どちらが母国語なのか分からないくらい長時間英語に触れさせることは、セミリンガルになる危険性をはらんでいるので気をつけて下さい。
例えばバイリンガルになってもらいたいからと言って、英語の得意な両親が日常会話でも子供に英語で話しかける、などは避けた方がいいでしょう。
英語学習させるにしても、英語はあくまで2番目の言語。まずは軸となる日本語をしっかり確立させる必要があります。
将来はバイリンガルになって欲しいけどどうすればいい?
通訳もできるようなペラペラなバイリンガルになって欲しいなら、10歳以降の学習に力を入れましょう。
通訳もできるくらい英語に堪能になるには、日本語と英語お互いの言語をしっかり認識して最適な言葉を選ぶ論理的思考力が必要です。
日本語で論理的思考力をしっかり身につけてから、英語を使いこなすのが理想的なバイリンガルです。
バイリンガルについて
バイリンガルにはいつ外国語を習得したかで、2種類に分けられます。
1.早期バイリンガル:子供の時から2言語環境で育ち、2つの言語を習得した
2.非早期バイリンガル:学生や大人になってから、第2言語を学習した
それぞれのバイリンガルでは脳の使い方が異なっています。
・早期バイリンガル:どちらの言語でも脳の1つの言語野領域のみを使用
・非早期バイリンガル:言語と論理をつかさどる2つの部分を使用
つまり、
幼いうちに外国語を習得すると考えずに外国語を話し、大きくなってから外国語を学習すると考えて外国語を話すようになります。
通訳などのビジネス領域でも英語を使いこなせるようになるには、しっかり考えて日本語に対応させた最適な言い回しや表現を選べないといけません。
そのためには、ある程度大きくなって論理的思考が確立してから英語を学習した方が良いのです。
セミリンガルにならず将来英語がペラペラになってもらうには
幼いころから英語に親しんで、将来ストレスなく英語をマスターするために
- 10歳以下の幼い時には、レクリエーションとして英語を経験して
- 10歳以上になったら、楽しいだけでなく学習として知識を身につけていく
この方法がベストだと思います。
小学校高学年くらいからの学習でも、ビジネスで十分役立つ英語がマスターできますし、英語ペラペラなバイリンガルになることもできます。
幼少期から英語教育をしていないとバイリンガルになれないというのは少し時代遅れの考え方で、最近の研究では家庭、学校、環境のあり方をコントロールすることで、バイリンガルの基礎作りができることが示されています。
幼少期にはあせらずに、まずは楽しく英語に触れてもらうのが一番ですね。
ところでバイリンガルの人は発音もきれいですよね。
これも英語独特の発音の法則を身につければ、外国に住まなくても十分身につけられます。詳しく知りたい方は以下のフォニックスについての記事をどうぞ。
参考資料
[1]吉川敏博「第二言語習得(SLA)における明示的知識(Explicit knowledge)と暗示的知識(Implicit knowledge)」外国語教育 ―理論と実践― ,平成28年3月31日,第42号
[2]中島和子「バイリンガル教育の方法<増補改訂版> 」2013.アルク出版社